ブログ

松国通信 希望のコラム[1]

2019.01.23

昨年、個性的な女優樹木希林さんが鬼籍に入られました。
何事も飾らない飄々とした人柄が大変印象的でありました。
そんな彼女が全国不登校新聞の著した『学校に行きたくない君へ』(ポプラ社)の中で、たいへん興味深いことを述べておられます。小学生時代に不登校を経験したインタビュアーの質問に答えるかたちでこう言っています。(以下引用)

ー周りの友人と自分をどうしても比較してしまうのですが…
ーわかる。私もデパートガールを始めた同級生がものすごく輝かしく見えていた から(笑)。私は18歳の時、行くところがなくて劇団「文学座」に入ったんです。今もそうだけど役者なんて先が見えない仕事でしょ。周りが銀行員になったり、大学に行ったりする。花が咲く4月に自分は何もない。おまけに周りの壁団員はみんなキレイ。「取り残された」という実感はそりゃあもうリアルでしたよ。でも、今考えればバッカみたいだけど(笑)
この地球上にはおびただしい数の人間がいます。人間として幸せなのは適職に出会えることです。自分がこれだと思うことに仕えられるほど幸せなことはありません。そういう、「これだ」と思える適職に出会えた人は、一握りしかいないんです。つくづく私も「芸能界」には向いていないな」と思うんです。
と、常に華やかさを求められる芸能界でも、「自分の個性を活かすことが大事なんだ」というニュアンスを暗に伝えて、受け答えを閉めています。推測ですが、このインタビュアーに、それこそ表情を使った名演技で、あえて言葉にせずに伝えたかったのかもしれません。
この他にも「こどもはちゃんと挫折する」や「不自由さを面白がる」など、含蓄ある受け答えをされていて、樹木さんの人柄と人生観に生きるヒントがちりばめられています。
松本国際高校東京校でも、他人と違うことを尊重し、自己肯定感が持てるような姿勢で生徒と日々向き合っていきたいと考えています。